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音痴改善のレッスンを始められた40代女性のSさん。
Sさんは子供の頃、親に「音痴」と言われ、以来、歌を避けて来られたそう。
でも、これからの人生を考えた時に「他の人のようにカラオケに行けたら楽しいだろうな。」
そう思って、勇気を出してレッスンを始めることにされました。
そのSさんとのレッスンが60日を過ぎました。
レッスンをして分かったことは、
Sさんは全然音痴じゃない!
今まで歌を避けてきたから歌い方が分からなかっただけ!
Sさんはほんとにきれいな歌声の持ち主!
私は、この60日間のSさんの成長にびっくりしています。
今回は、私が行った音痴改善レッスンの内容を具体的にお伝えします。
音痴が治った40代女性の特別なレッスン内容とは?
それでは、Sさんと行った1回ごとのレッスン内容をお伝えします。
私のレッスンにはマニュアルがある訳ではなく、その方の声を聞いて課題を把握し、今までの経験から1回ごとのレッスンを組み立てていきます。
ですから、その人だけの特別レッスンです。
無料体験レッスンでは私の笑顔が引きつりそうに(汗)
Sさんは私のいる九州からずっと遠いところに住んでおられます。
それで、SさんとのレッスンはZoomを使ったオンラインレッスンです。
Sさんからお問い合わせをいただいた後、まずは無料体験レッスンを行いました。
「では、どこでもいいですから、出しやすいところでアーと声を出してみてください。」
私の音痴改善レッスンでは、だいたいここから始めます。
これは、他の生徒さんとの対面レッスンの1回目ですが、こんな感じです。
Sさんが出された声は、低いソの音でした。
「それは低いソですね。では、この音を出してください。」
ソより1音高いラを弾きながら、そう言いましたが、Sさんはその音が取れずに、すごく低い声を出したりとさまよっています・・・。
「ではこちらは?」
低い方が取りやすいかなと1音低いファを弾いてみましたが、やはり取れませんでした。
「じゃ、ドに行ってみましょうか。これがドです。」
ピアノの真ん中のドを弾きましたが、だめでした。(汗)
(おっと、これは重症だな。)
Sさんは音を聞いて合わせるということができませんでした。
私は笑顔で話しながらも、その笑顔が引きつりそうになるのを感じました・・・。
それはそうですよね。
Sさん、子供時代のトラウマを引きずって、歌を避けてこられたんですから。
Sさんは初めてのレッスンに緊張されているようで、また口も全然開かず、喉の奥から声をだしているような印象でした。
私は体験レッスンを終え、「なかなか難しそうだな。でもSさんに喜んでもらえるように、一生懸命にがんばろう!」と思いました。
1回目のレッスンできれいな高音が!
Sさんは私のレッスンを受けることに決められ、次の週から本格的なレッスンが始まりました。
まずは唱歌の「ふるさと」を使って音程の練習を始めました。
そして私はすごいことを発見!
ドレミはやはり取れないのですが、高い音はちゃんと取れて、しかもきれいな声なのです!
Sさんはご自分の声は低くて高い声は出ないと思っておられ、私もそう思っていました。
でも、それは思い込みだったのです!
「歌は苦手」「高い声は出ない」
そう思っているから、今まで口も開けずにお腹に力も入れず、ただ喉の奥から声を絞り出していただけ。
2回目のレッスンで音が合う感覚をゲット!
「Sさん、高い方が出やすいのかも。」
そう思った私は「ふるさと」のキーを一つ上げて練習することにしました。
Sさんの場合は、毎回のレッスンで、曲の練習の前に、音を聞いてその音を出すという練習をしています。
例えばドの音を、ずっとピアノで叩き、それを聞いて「あー」と歌ってもらいます。
でも、これが難しいんですよね。
私は焦らずに同じ音を強すぎない音量で叩き続けます。
Sさんは随分迷いながら、やっとその音に合わせることができました。
「合った時の感覚ってありましたか?」
「ああ、はい。」
「よかった!」
「合ったかどうか分からない時は、思いっきり低い音からエレベーターみたいに少しずつ上げていくといいですよ。」
そう言うと、そのようにやってくださいました。
すごく低い音から少しずつ少しずつ上げていく。
そして「あ、音が合ったな。」というところで、ピアノを聞きながら音を伸ばします。
吹奏楽でも初心者が音を合わせる時にそうします。
今は自分で聞かないでチューナーを使ったりアプリを使ったりすることが多いですが、最初からそれだと耳が育ちません。
時間がかかるし面倒ですけど、自分で聞きながら音を合わせる努力をし、合った時の感覚を身に付けることは何よりも大事なことです。
そして、「ふるさと」をG(ト長調)で歌ってもらいましたが、だいたい正しい音程で歌うことができ、私も希望がふくらんできました。
Sさんはあいみょんがお好きだと聞いていたので、次からはあいみょんの「マリーゴールド」をすることにして、今回の練習は終了しました。
3回目のレッスン 音符を見て音の上がり下がりを意識する
私は3回目のレッスン日が来る前に「マリーゴールド」の楽譜を探しましたが、「マリーゴールド」は音域も広く、音の上がり下がりも結構ありました。
それで、もう一つ「涙そうそう」も候補に入れました。
オンラインでも同じ楽譜を共有できるように、ヤマハ「ぷりんと楽譜」で楽譜を選びました。
音程を正しくするためには、楽譜を見て音の上がり下がりを意識して歌うことが有効です。
Sさんにも私が選んだ楽譜を印刷してもらっておいて、3回目のレッスンを始めました。
聞いた音を歌う基本のレッスン後、「マリーゴールド」と「涙そうそう」をYouTubeのカラオケに合わせて歌ってもらいました。
Sさんの歌を聴いてみると、フレーズの最後の音が下がることと音が飛ぶところの音程が取れないという課題が見つかりました。
Sさんご自身が、まず「涙そうそう」をしたいと言われたので、この日は「涙そうそう」の練習に入りました。
楽譜上のチェックポイントにしるしをつけてもらい、その部分を抽出して練習しました。
しっかり音程を意識しないと、ほとんどの人は音が上がる時は上がりきれず、下がる時は下がり過ぎます。
音階は文字通り音の階段なので、上がる時はそれなりに腹筋が必要で、下がる時も下がり過ぎないように支えないといけません。
Sさんはレッスンを重ねるごとに笑顔が増えてこられました。
でも相変わらず、歌う時は口が開いていないので、喉を開いて歌うようにアドバイスをしました。
中学校で授業をしていた時も生徒からよく聞かれていましたが、Sさんからも「喉を開くというのはどうしたらいいのでしょうか?」とお尋ねがありました。
それで、まず、あくびをした時の喉の感覚を覚えることと舌の力を抜き、平べったくすることをお伝えしました。
さらに、喉仏(女性にも小さいのがあります)を下げる方法など、具体的にお伝えしました。
4回目のレッスン 音の幅を意識する
基本の練習をした後、前回に続いて「涙そうそう」の練習をしました。
今回も各フレーズの最後の音が合わない箇所があります。
たぶん今まで楽譜を見て、音の幅を意識して歌われた経験がないのだと思います。
楽譜を見て、すぐにドレミで歌えなくても構いません。
大事なのは、音符の上がり下がりや音と音の幅を意識して歌うことです。
楽譜は見てすぐに分かる絵のようになっています。
低い音は下にあり高い音は上に。
一つの音から次の音までの高さの差がどのくらいあるのかも目で見て分かります。
それに、1小節の長さは変わらないので、その中に音符がいっぱいあったらリズムが速い、少なかったらゆっくりということも分かります。
「楽譜は苦手!」と言われる方が多いですけど、こんな風に、楽譜ってとっても便利なんです。
Sさんにも、「ドレミが読めなくてもいいので、音符を見て、音の幅を意識して歌ってくださいね。」とお伝えしました。
また、実際に小さいキーボードを縦に持ち、その音を弾いて、鍵盤で音の高さと幅を見ながら歌ってもらいました。
こうやって音の幅を意識して歌うことで、フレーズの最後の音も下がり過ぎず、音程がとてもよくなってきました。
でも、ところどころ上ずるところがあります。
それを治すためには音と耳の連動を強化しなければいけません。
それから、Sさんはまだ口が開いていません。
口を開けて力を抜いて歌うことで、音程も更に安定してきます。
次は音と耳の連動と口を開けて歌うことを中心にしましょうと確認をしました。
5回目のレッスン 音の幅に厳しくなる
いつものように、ピアノの音を聞いて、その音を歌う基本の練習から入ります。
最初はちょっと合わないのですが、何回かやっていくとバッチリ合うようになりました。
それでは歌の練習です。
Sさんのご希望で、今回から今井美樹さんの「プライド」を使って練習することになりました。
この曲は音域も広くなく極端に音の上がり下がりがあるところもないので、音程や歌い方の練習には最適な曲です。
Sさん自身でこれを選んでくださってよかった!
Sさんはこの曲をだいたい正しい音程で歌うことができました。
ただ、出だしのここのところがうまくいきません。(汗)
これは、この曲に何度も出てくる、この曲の特徴的なメロディーです。
ここがきちんと歌えなければ「プライド」が歌えたことにはなりません・・・。
それで、ここの部分練習を行いました。
まず、ここをハ長調の階名で読むと「ソドレミファミー」となります。
実際の楽譜はE♭(変ホ長調)で書いてありますけど、楽譜の音符の下に「ソドレミファミ」と書いてもらいました。
両端を取ると「ドレミファ」。
ただのドレミファですね。
Sさんは、階名でこれだけ歌うと、普通に「ドレミファ」と歌えます。
でも、最初の低いソをつけると、ちゃんとソまで降りてないし、その後の音程も流れてしまって、全部ほぼ同じ音程になってしまいます。(汗)
たぶん今まで、音程を意識しないで歌われていた時の癖がついているのだと思います。
それで、最初の低いソからドまでの間にはラとシがあって、ドに上がるには階段を3段昇らなければいけないと話して、ソ→ドの練習を何回かやりました。
ソ→ドが簡単に取れるようになったら、ソドレミファの練習。
これはすぐにクリアできました。
その後で最後のミまでつけて歌います。
これがちょっと下がり過ぎるんですよね。
上にも書いたように、だいたい下がる音は下がり過ぎる傾向にあります。
ミは途中にもありますから、そのミまで正確に戻らないといけません。
やはり鍵盤や音符を見ながら幅を意識して練習しました。
それができてから歌詞に戻しました。
Sさん、これで「プライド」の音程がバッチリになりました!
7週目のレッスン 母音の口の形に気をつけて歌うまを目指す!
ただ、この「プライド」は(他の歌ももちろん)、音程が正しいだけではだめですよね。
明るくはっきりと、希望を感じさせるように歌わなければいけません。
特に最初の「わたしはいま」。
ここが一番大事です!
ここを明るく印象的に歌うには、やはり口を開けて笑顔で歌います。
少しずつ口が開いてこられたSさんですが、歌っているうちにだんだんと口が閉じてしまいます。
あくびのように喉を開き、口を縦に開けて「アー」と歌ってもらいました。
ついでに頬骨を高くして、眉毛をしっかり上に上げます。
そうしたらとっても素敵な笑顔になり、声も明るくなります。
Sさん、もともと美人さんですけど、なおさら魅力的♡
まずは、そのフレーズを「アー」で歌ってもらいました。
明るい気分で、一番高い音に向かって山を作るように。
その後、母音読みをしました。
「わたしはいま」を母音にすると「アアイ ア イアー」。
アとイしかありません。
アの時は口を思いっきり縦に開けて、イの時は横に引っ張るのではなくて、口を細くして声を鼻の方に当てます。
これで、最初の「私は今」がとっても明るい響きになりました。
次にすることは、言葉の頭にアクセントを付けることです。
「わたしはいまー」
これで、明るく決意を持った歌い出しになります。
出だしの「私は今」がとてもよくなった段階で、次は「アイウエオ」の口の形を練習しました。
練習する時は「アエイオウ」の順でやります。
一番開くのはア。
アは卵を縦にしたようなイメージで口を開けますが、下顎は下げずに上顎の方を開けます。
すると当然、下も開きますけど。
エは開け方を軽く、イはもっと細く、あまり横に引っ張りません。
オは縦に細く、ウは口をつぼめてちょっと突き出す感じ。
その後、楽譜の歌詞の下に母音を書いてもらって、母音読み→母音で歌う練習をしました。
母音読みをすると、言葉がはっきりするだけでなく、言葉が違っても響きが揃って、音程がさらに安定します。
いやいや、ここまでやったら、もう音痴改善なんてレベルではなく、歌うまを目指してのボイストレーニングですよね。
Sさん、すごいなあ!
8回目のレッスン 不安定な箇所を克服!
今回からSさんの希望で、いきものがかりの「ありがとう」を始めました。
最初の音を聞いて音を合わせる練習、今回は一発でバッチリ取れました!
嬉しい!!
そして、まず、カラオケに合わせて歌っていただきました。
Sさんの声はほんとに明るくて、まっすぐ伸びていてきれいです!
今まで歌を遠ざけて来られたから、ご自分でもそう思われたことはなかったようですが。
これからは、このきれいな声を人に聴かせることができると思うと、私も嬉しくなります。
ただ、今まで、音程を意識しないで(たぶん一人の時に)歌ってこられた癖が付いていて、音の幅がいい加減で流れてしまっているところがあります。
特に「あなーたがーまどーをあけるー」のところが、なかなかうまくいきません。
それで、その部分を抜き出して練習することにしました。
今日は体に音階が入るように、手をつけてドレミで歌ってもらいました。
自分でドはここと決めて、レは一段高いだけだからそれよりもちょっと上、ソは5度上だからずっと上という風に音階に合わせて手を上げ下げしてもらいました。
こうやって体を動かすと音程が取りやすくなります。
これで、一番音程が取りにくかった部分もよくなりました。
ところが不思議なことが。
その部分だけ歌うとバッチリなんですが、その前のフレーズから歌ってもらうと、レッスン前の不確かな音程に戻っちゃうんです。(汗)
たぶん、Sさんはこの曲がお好きで、いきものがかりの歌を聴きながら一緒に歌っておられたんでしょうね。
それで、今までの癖が染みついているんですね・・・。(汗)
でも、何度もやるうちにバッチリになられました。
音痴が治った40代女性はカラオケも大丈夫に!
歌に自信がなく、カラオケになんか行けなかったSさん。
でも本当は歌うことが大好きだったんです。
そんなSさんは歌のレッスンを続けることで音程は良くなり、口も開けて明るく歌うことができるようになりました。
もう、カラオケに行っても大丈夫です!
特にレッスンでやった「涙そうそう」「プライド」「ありがとう」は自信を持って歌えますね。
これからは、どんどんレパートリーを増やして欲しいと思います。
ただ、上手になればなるほど、さらに課題は見えてくるんです。
音程に自信がなかった時は、音程を正しく取るのが目標ですけど、そこがクリアされたら、発声、発音など、人に聴いてもらうために必要なことがどんどん出てきます。
それからリズム。
現代の曲にはシンコペーションがたくさん使われています。
そうやって、益々歌が上手になり、上手になったらもっと課題がありということの繰り返しだと思います。
でもそれが楽しいんですよね!
今はまだコロナが終息していませんけど、もう少ししたら、今までのようにカラオケに行く機会も増えることでしょう。
その時、Sさん、みんなと一緒に思いっきり楽しんで欲しいです!
音痴改善レッスン60日間でめざましい進歩が!
子供の頃に「音痴」と言われ、それからずっと歌を避けて来たSさん。
でも、Sさんは全然音痴なんかじゃありませんでした。
ただ「自分は音痴だ。」と思い込み、自信が持てなかっただけです。
そんなSさんですが、勇気を持って一歩踏み出し、レッスンを始められました。
そして本来持っている美しい声が出てきて、心も解放されました。
Sさんとは、Zoomの調子が悪くなった時のためにLINEもつないでいますが、Sさんは時々、自分の歌を録音して送ってくださいます。
私はそれにコメントすることができるし、レッスン後はその日のまとめと課題をLINEで送ります。
週1のレッスンだけでなく、日頃そうやって関わることができたのも、大きな成長の後押しをしたのかも知れません。
Sさんとのレッスンはまだまだ続きます。
これからは、カラオケに行く日のためのボイストレーニング♪
ほんとに楽しみです。
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